鰻屋さんの自己紹介

普通、店主の経歴には華々しい過去の修行の実績や経験が載っていることが多い。

ミシュラン店での修行や有名店での勤務実績。

でも、僕にはそれがない。

シンガポールに来る3ヶ月前、初めて鰻に触った。

2012年に大学を卒業し、就職しなかった組の一人。

当時の就活は就職氷河期明けで、比較的就職先も見つかりやすく、僕も数社から内定をいただいた。大手も含めて数社。就活成功組だったのに、インドの一人旅が人生を変えた。

多分、”インドで人生観変わる”は本当だと思う。

ニューデリー到着初日、インド人に騙され所持金を半分失った時に僕は恐怖よりも開き直ったような清々しい気持ちだった。”お金は失うけど、今までの経験は誰にも奪われない”と知った瞬間だった。

その後帰国し、内定先に就職辞退を申し入れ、3ヶ月後には下北沢にカレー屋さんを開いていた。ちょうど、スパイスカレーの走りくらいの頃で下北沢カレーフェスの初年度だった。

半年で閉店したけれど、あのカレー屋さんで知った飲食店の面白さ。いや、それ以上に自分でやってみる面白さを知ったのが、僕の初めての飲食店経験でした。

カレー屋さんを閉店してから6年後、知り合いの伝手で呼んでい頂いたのがシンガポールの鰻屋さんのオープニング。

カレーと鰻は全然違う料理だけど、両方とも面白く、両方とも奥が深い料理。

1つの料理を挟んで国も言葉も超えて全てがリンクしていきます。

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